木造ラーメン工法とSE構法


萩森建設はSE構法での家づくりを行っています

  〈こちらも参照:萩森建設 VS ハウスメーカーの特徴的な技術〉

住友林業の最強工法である「ビッグフレーム工法」に代表される、木造ラーメン工法というジャンルの建て方になります。

マニアックな構造的なうんちくはご興味のある方がいらっしゃれば、1時間でも2時間でもご説明しますが、通常の在来木造住宅とは異なる構造の考え方になります。

同等の考え方に近いものは、ハウスメーカーでは積水ハウス シャーウッドの「ハイブリッド工法」や名古屋のディファクトによる「ヘッジ工法」などもこれに当たります。

SE構法をはじめ、各社は木造ラーメン工法の強みを様々にアピールしますが、そのうち重要なものは木造ラーメン工法は耐震性能が高いという主張です。


ラーメン工法とは一体何でしょう


木造の構造は、法律的には「建築基準法施行令第3章第3節の第46条第1項」に規定されている「壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない。」という作り方が基本にあります。柱や梁の骨組みを、壁や筋交いで補強する構造で、どの程度の壁や筋交いを入れるかということも決められています。

この決め事に反して、壁や筋交いを減らしてもよい工法について、各社○○工法などと名前を付けて木造ラーメン工法と呼称していることになります。

法律の規定に外れるためには法律が必要で、その次の第2項の例外規定が活用されています。第2項の規定とは以下のようなものです。

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する木造の建築物又は建築物の構造部分については、用しない。
一 次に掲げる基準に適合するもの


イ 構造耐力上主要な部分である柱及び横架材(間柱、小ばりその他これらに類するものを除く。以下この号において同じ。)に使用する集成材その他の木材の品質が、当該柱及び横架材の強度及び耐久性に関し国土交通大臣の定める基準に適合していること。
ロ 構造耐力上主要な部分である柱の脚部が、一体の鉄筋コンクリート造の布基礎に緊結している土台に緊結し、又は鉄筋コンクリート造の基礎に緊結していること。
ハ イ及びロに掲げるもののほか、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて、構造耐力上安全であることが確かめられた構造であること。

この規定を各社とも利用するので、手法としては同じようなものとなり、素人目には違いがわかりにくいのは当然と言えます。


ここでとても大切なことは、通常より筋交いや壁の少なくて済む工法を木造ラーメン工法と呼んでいるということです。


 ラーメン工法≠強い工法
 ラーメン工法=壁や筋交いの少ない工法


木造ラーメン工法は強いということがしきりにアピールされていますが、本来、木造ラーメン工法のメリットは、壁や筋交いを減らせることなのです。


○○工法によって減らせる壁の量が異なります

住友林業のビッグフレーム工法やヘッジ工法の立場からすれば、積水ハウスシャーウッドのハイブリッド工法はずいぶんたくさんの壁と併用しなくてはいけないので、より優れているという主張もできることになります。

積水ハウスシャーウッドのハイブリッド工法の立場からすれば、ほとんどの間取りプランで支障なく壁を入れられるので、必要十分な範囲で減らすことが出来ればそれでよいじゃないか、ということになるでしょう。


いずれにしても、ラーメン工法だから強いという表現を見かけるとすれば、それは誤りです。ラーメン工法だろうが従来の在来工法だろうが、強く計画すれば強いし、弱く計画すれば弱いのです。


前置きが長くなりましたが、ここからこの記事の本題です。


SE構法は自由!

萩森建設は住友林業のビッグフレーム工法と積水シャーウッドのハイブリッド工法に該当する木造ラーメン工法として、SE構法を採用しています。

壁を少なくできる量の比較としては、住友林業、積水シャーウッドの中間というくらいでしょうか。壁を全く不要とすることにこだわるのではなく、支障のない場所には積極的に壁を設け、費用的にも強度的にもより良いものを目指すという考え方です。(実は、SE構法に純ラーメンにする方法がないわけではないのですが、アパートや店舗などでなければ合理的ではないので、今回は除外します。)

SE構法であれば、ほとんどどんな間取りにも対応でき、スケルトン&インフィルの考え方にも対応できます。


SE構法は強い!

より重要なのは、SE構法による建物の強さについてです。

前述のように建物の強さは、工法ではなくその建物をどのような強度で計画するかということによって決まります。決して木造ラーメン工法だから強いわけではなく、○○工法では弱い建物は造らない、というポリシーで決まるのです。

住友林業のビッグフレーム工法が強いとすれば、ビッグフレーム工法で計画する建物は強い建物にすると住友林業がポリシーを決めているから強いのです。高級グレードに設定しているので、他の工法より強い設定がなされていると思いますが、それはビッグフレーム工法という工法自体の特性ではなく、ビッグフレーム工法を採用した場合、自社の他の工法より高い強度で計算する。と決めるから強いのです。もし、自社の建物はすべて同じ強度にするというポリシーがあれば、工法による強度の差はなくなります。


SE構法の耐震基準のポリシーはハウスメーカーを上回ります。SE構法は全国のいろいろな工務店で採用されていますが、その強みは強い建物が出来るということだからです。ハウスメーカーであれば、構造の強さは自社のいくつかの強みの一つにすぎませんが、SE構法にとっては、基本的に構造の強さがすべてです。強い構造が実現できるというポリシーが、SE構法の存在意義そのもので、それによって営業を行っているわけです。

ですから、それぞれの工務店がバラバラに強度の自社ポリシーを持っていたら困ります。どの工務店であれSE構法を採用すればハウスメーカ以上の強さが得られるように、管理されています。

我々が、いくらそこまでしなくてもよいのではないかと思っていても、SE構法では強い建物しか造ることはできません。過剰と表現するか安心と表現するかはとらえ方次第ですが、そのポリシーは確かなものです。


○○工法という造り方自体を見れば、SE構法より強度の出せる工法は存在します。

大切なのは、その○○工法の運用元がどういったポリシーで建物を造るかです。

建物はケースバイケースなので、その建物の求める強度に合わせて柔軟に対応すればよいという考え方も間違いではないと思います。しかし、その瞬間○○工法だから強いということはなくなります。


もっと強いSE構法は、もっと強い○○工法よりも強い

最後に長年SE構法と他の構造を扱ってきた萩森建設が断言できることは、コストとの関係です。

SE構法の通常ポリシーよりさらに過剰に強くできる○○工法があったとします。しかし、自分の知る限り、その場合は必ず○○工法の方がSE構法より高額になります。○○工法が100万円高くなるなら、その100万円をSE構法でさらに過剰の過剰に強い建物を造るために使うことで、先の○○工法よりさらに強いSE構法の建物にできます。SE構法の強さの証は、最低限の強さが過剰に強い水準に設定されていることであって、それ以上過剰の過剰に強い建物を造れないことを意味しているわけではありません。

予算に限りがある場合、その予算内で最高に強い建物が建てられるのは、SE構法です。



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