冷房の連続運転は夏型結露を凶器に変える


2~3年前から、一定以上の断熱性能が確保された建物では、エアコンは連続運転したほうが省エネになるということが言われています。

これは、エネルギー効率という面では間違ってはいません。

一方、夏型結露※の対策という点では、非常に危険が大きいことになります。

夏型結露は、高温多湿の外気が、冷えた建物にふれることで発生します。冷えたコップの表面に結露が起こるのと同じ理屈です。

エアコンにより結露水を排出するため、室内の湿度は低めに快適に保つことができますが、大きな視点では、高温多湿の中に冷たい建物が存在するという状態は変わりません。どこかで必ず結露は発生します。

そして、現在の住宅建築ではこの夏型結露をコントロールすることはほとんど考慮されていません。

住宅建築の結露対策は、ほぼ冬の発生メカニズム(室内が高温多湿で、外気が乾燥冷気という前提)に向けて行われています。この対策の一部は夏型にも有効であるものの、大部分は逆効果です。例えば、冬型結露の代表的な対策である、断熱材の室内側への防湿層の設置は、夏型では断熱材内での内部結露を促進しかねません。

しかし、現実的には夏型結露はこれまで問題にされてきませんでした。それは、夏は乾きやすいからです。いくら高温多湿といえど、冷房を止めれば結露はすっきり乾きます。夏の日差しの中では、少々の結露は問題にならなかったのです。

気温の高い夏はカビや腐朽菌の活動も活発なため、結露状態が長く続くことは大変なリスクですが、濡れたり乾いたりが断続的に繰り返される環境下では、大きな問題になることはありませんでした。


ここで、連続冷房が問題になってきます。

乾く間がないのです。


住宅建築では、有効な夏型結露への工夫はあまりありません。

萩森建設では、全館空調と特殊な防湿層の形成、内部結露を起こさない断熱材の選択、各種配管経路の見直しなど、費用を惜しまなければ対策は可能です。しかし、コストパフォーマンスの高いものとは言えません。

一番容易で確実な夏型結露対策は、冷房を止め、建物が温まり、結露が乾く時間を設けることです。

屋外に置かれた、結露水でびしょびしょになった冷たい水の入ったコップの表面も、水がぬるくなればすぐにからからに乾きます。


連続冷房を心がけている方も、毎日2~3時間くらい乾かす時間を意識するとよいですね。




※夏型結露とは?

冬型結露は窓ガラスの表面など目に見える形で発生するのに対し、夏型結露は家の中で起きる結露ではなく、住宅の基礎部分や壁の中で結露を起こして濡れることを言います。
冬の結露に対して「夏型結露」と言われています。

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