UA値は省エネの指標には、直接的には役に立たない
国の施策も含め、社会全体がより省エネな家づくりを目指しています。
そこで、断熱性をどんどん上げていきましょうという話しになっています。
現在、断熱性能の基本的な指標は、面積当たりの建物の外部面からの熱の移動量を表すUA値(外皮平均熱貫流率)です。
この指標は、壁や屋根などの物理的な断熱性能を判断するには役立ちますが、建物全体からどの程度の熱が逃げるかの判断には直接的には役立ちません。
同じ広さの建物でも、複雑なデザインで表面積が広ければ、建物から逃げる熱は大きくなります。
つまり、UA値の良い広く複雑な建物より、UA値が悪くても狭く単純な建物の方が、熱エネルギーが逃げる量は小さいということは当たり前に起こるわけです。
厳密にいえば、UA値が優れていることと省エネであることは、直接的には関係ありません。
UA値は快適性の指標になる
一方で、UA値が優れていると、快適な住環境空間を実現することには、とても役立ちます。
室内の温度差を無くしたり、冷暖房による温度変化を小さくしたり、室内の表面結露を抑制したり、と良いことばかりです。
省エネという観点から語られる断熱性能ですが、暮らす人の快適性により直接的にかかわってくるのです。
断熱性能は温度差を無くす
断熱性能が良いと、熱を逃がさなくなるということは直感的にわかりますが、暮らす人が快適に健康な生活を送るための影響として、より重要なことは、温度差が小さくなるという効果です。
部屋ごとの温度差、空間の上と下での温度差、が小さくなることで、様々な効果が生まれます。
温度差による健康障害を防ぐ
一番わかりやすい効果としては、お風呂やトイレに行くときに、居室との温度差が過大な時に起こる心筋梗塞や脳卒中などのヒートショックリスクを下げる効果です。
それ以外にも、温度差が小さくなることで、湿度のコントロールが容易になり、結露防止の効果が高まります。
0コメント